Norwegian Wood

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Bessaflex TM + CARL ZEISS JENA FLEKTOGON 35mm/F2.4 + Kodak PORTRA 400vc

映画「ノルウェイの森」を観た。私は好きだった。美しい絵の中に居る生身の人間。村上春樹の小説は舞台は日本であっても異国のような、人を描いているのにどこか少し現実味が薄い、遠い痛みのような架空感がある。小説の中ではそれが美しいし、遠い痛みを引き寄せるようにして読むから鋭い欠片が胸に刺さる。
生身であるということは俗であるということでもある。だから、小説が好きであの世界を求めていた人には「違う」と不満のあるものになっているかもしれない。

私はハルキストと言われるほど傾倒はしてないと思うけど、村上春樹は好きで。その上で、小説とは別として、この映画は映画として好きだと思った。(でも、原作と完全に切り離しちゃうと、ワタナベ君の周りの女の人はまるでみんなセックスのことしか考えてないみたいに見えちゃうかもしれない。それは残念。小説のエピソードを映画に全部入れることができないのはわかっているけれど、その人物が何故そういう人間として主人公の前に現れたのか、あるいはどういう必然性を持ってそういう人間になって主人公を求めるのか、が映画だけでは全然わからないから。)

映画を観終わった後、喫茶店に入って思ったことをノートに書き留めた。iphoneにメモするのではなく、「書く」という行為がしたくなって。それから大切に想う友人に短いメールを打った。

良い映画がどんな映画か私はわからない。ただ、「ノルウェイの森」はそんな風に私にさせてくれた映画だった。