「知らず周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるか。」

一昨日の夜から昨日の朝にかけて、両耳が聴こえなくなるという稀有な体験をした。もともと突発性難聴で左耳の聴力はないのだけど、その上で右耳に膿と血が溜まってふさがれる形で両耳が聴こえなくなった。何か音がしている、と、わかるくらい。不完全なる世界との断絶。

ガチャン、ツーツーツー。どうか回線はまだ切らないで。

耳が聴こえないと、自分と世界の境目みたいなものがはっきりする。なのに身体はふらふらして髭を切られた猫のようで。なんだか不思議な感覚だった。

もう冬だな、なんて思う白い息の朝に蝶。季節はずれ。