「ゆっくり歩いて、たくさん水を飲む」

洪水の夢を見た。
その水は雨でもなく海でもなく、でも地を覆うように溢れていた。
高台からゆるく下るカーブの道。水に飲みこまれそうになりながら、崖から水が滝になって下に落ちている。
このまま流れに足を取られながら水の無いところを探すか、少し迷った後、私はその滝に飛び込んだ。
飛び込んだ滝の先は、浅瀬になっていて、映りこむ光に私は空が上にあるのか下にあるのか一瞬見失う。
崖を背にして立ち、海なのか水没した街なのかわからない茫漠とした大きな水たまりを眺める。
それはとても美しかった。

これは夢の話で水の話で夜の話。