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震災から少し経って、家族でいわきに行った。
里帰りを兼ねて、英子さんとはるえに会いに。
赤い車に乗って。

震災の影響で使えなくなった旅館に泊まらせてもらった。



自分の中で、全然変わっていかないものがあって、ずっと心の中に塊となって沈んでいる。
それが良いものか悪いものかもわからない。
時が過ぎていっても住む場所が変わっても、それがずっとある。
揺れ動かされた時にできちゃったもので、自分の中にあるのにまだ手が届かない。
手が届いたら「なーんだ」って思うようなものかもしれないのだけど、届かないから海の底に沈んでいく何かみたいに、ぼんやりしてもどかしい。

少し思うのは、あの時きっと、たくさんの人が傷ついたということ。
傷の大きい小さいはあるけれど、傷ついて、自分の傷は小さいからってこんなことで傷ついたって言っちゃいけないって我慢する人がいたり、反対に小さくてもこんなに傷ついたよって大きな声で言う人がいたり、大きいからこそ声をあげられない人がいたり。

時間が経って少し変わったのは、そういうことがわかって、認められるようになったぐらい。
祈るような気持ちも、明日死んじゃうかもしれないって心臓を鷲掴みにされた感じも、ずっと消えなくて、ずっとある。

だから、まだって思うし、もう、っても思う。
そんな6年目。