告白

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Bessaflex TM + CARL ZEISS JENA FLEKTOGON 35mm/F2.4 + Kodak PORTRA 400vc

「告白」を観てきました。ラスト、ちょっとこれは演出過多じゃないですかと思うところはあったけれど、それ以外とても良かったです。まず画がすごくいい。1シーン1シーン、こんな写真が撮れたらと思うような画。それには勿論演出も含まれていて、原作を先に読んでいたのだけど、原作に忠実ながら飽きることなく観れました。

そして、キャストも良かった。松たか子の役は松たか子以外有り得ないと思うくらいのぴったりさで。14歳たちの子役たちもメインじゃない子たちも含め生き生きとして素晴らしくて。しかし、こっそり私が心の中で拍手したのは岡田将生をこの役にしたこと。「ハルフウェイ」「重力ピエロ」で賢い二枚目を演じたのにずっと違和感があって。今回、これだよ、これ。とやっと納得。岡田将生はこういう白痴イケメンがぴったりくると思うのです。(色んな人を敵に回したかもしれない発言)

映画の中、ワンシーンだけ泣いたシーン。それは松たか子の絞り出すような号泣シーンでした。それまでずっと淡々としていて、かわいそうだけど嫌な奴でもある彼女が誰もいない道の上で号泣する。あれは松たか子じゃないと駄目だよなあ、と。NODAMAPの「贋作 罪と罰」で大竹しのぶがやった役を再演の時に松たか子が演じて。私は初演の大竹しのぶを観ていたから、あれには誰も敵わないと思っていたのだけど、松たか子が咆哮のように泣くシーンが衝撃で。女優なのに舞台上なのに、周りの目を一切気にしないような地団駄を踏む不細工な泣き方。それがどうしようもなく心を打つ。その時、大竹しのぶに匹敵できる女優じゃないかと感じたのを思い出したのでした。

それと、思い出すと言えば、何故か岩井俊二映画をなんとなく彷彿とさせる何かがありました。画の綺麗さも、もしかしたらそういう風に見せるのを狙ってる?と思うようなシーンもあったり。「リリイ・シュシュのすべて」が浮かぶのは中学生を題材にして同じような部分を扱ってるからにしても、なんだか「PiCNiC」が浮かんだり。中島哲也監督作品は結構好きで観ているのだけど、岩井俊二作品とは対極にあるような気がしていたので意外でした。
でも、考えてみたら「自分の美意識にこだわって画を作り上げようとする」「キャストの味を最大限に生かそうとする」というのは共通していて。アプローチの仕方が今まで違ったから、対極にあるように感じただけだったのかな。(と、言いながら上記の二つって監督さんなら誰しもがそうである部分なようにも思うから、もう少し掘り下げて考えてみよう)

音も、メインのRadioheadだけじゃなく良かったし、と褒め書きながら思い返して、行き着くのはやっぱり画の作り方がすごく好みだったということ。思わず監督さん以外のスタッフに興味を持って調べてみる程に。

全員が悪くなくて全員が悪い、というこの映画。私が一番嫌悪感を抱いたのは「先生に悪いと思わないの」と正義を振りかざしていじめの理由にする名もなき女生徒でした。傷つかない位置に隠れる多数の中の一人。糾弾する資格は無いのにそれを自分の権利のように扱う。私には彼女が一番怖かったです。