おはじき 家の近くに缶の工場があって。道路に面した鉄カゴいっぱいにアルミの屑が詰め込まれている。手を突っ込んだらじゃぎじゃぎに切れちゃいそうで怖いと思いながら、なんだか綺麗にも思えていつも見てしまう。雨降り後。…
粗熱が冷めた夕暮れ 熱が下がって外に出てみると、すっかり秋の風でした。薄い長袖のカーディガンをクローゼットから引っ張り出して羽織りました。熱に浮かされて見る夢は鮮やかな色で。夕暮れの街の色は少しその夢の色を思い出させまし…
くしゅん 風邪をひきました。くしゅん。無頓着、とか書いたのに、どうやら身体は心の忙しなさとは関係無しに季節を感じていたみたい。頭の芯の方に熱があって、少しぼんやりしています。ホットミルクに蜂蜜とブランデーをたら…
昨日と今日がくっついてゆく世界で 気がつけば季節が通り過ぎようとしている。そして、そういうことに少し無頓着になっている自分が居る。子供の頃は一日一日が長くって、夏休みは果てしなかったし(その果てには宿題なるものがあるのだけど)、1年は…
大丈夫。風は通ってる。 もっともっと優しくなりたい。優しくなるためには強くならなくちゃいけないことを私は知っている。強さと優しさ。そして受け入れる。受け止める。「何々のため」と「何々の所為」の根っこが同じになってしまうのは良…
夏の思い出 夏が終わっていく。今年の夏休み。瀬戸内の小さな島で。夜釣りをしていた時に会った猫。正確に言うと夜釣りをしてる人の横で「1Q84」を読んでいる時に会った猫。秋は四季の中で一番好きな季節。どんな方向であろ…
全てを知りたいとする強欲に罰を 本のある場所が好きだ。少し埃っぽい特有の匂い。それは紙とインクと越えてきた時間の匂い。できれば全部読みたいと思う。帰りの電車からマンションの窓に灯る明かりたちを見て「この光一つ一つにそれぞれの人生があ…
暮れてゆく空は 仕事帰り。見上げた空に浮かんだ細い細い三日月が美しくって、心も身体もくたくただったのだけど、カメラを持って屋上にのぼった。 赤が藍に侵食されて、月の色が空に穴が開くようにはっきりしていくのを長いこと眺…
線路は続くよどこまでも スタンド・バイ・ミー的線路、と思ったけれども、なかなかにあんな乾いた空気は日本にはなくて。「一組の線路のように僕たちの道は決して交わらない。しかしずっと同じ方向を見て歩いていくことはできる。」大切なの…