20代の頃は自分の書いたものを読んだ人に刺されて死にたいと思っていた。それ程までに言葉で誰かの心を動かせたらそれが自分にとっての幸福だと考えていた。30を過ぎて。私は自分の言葉が人をどうしようもなく傷つけることを心を引き千切られるような形で知って、自分の言葉が怖くなった。本当は暖めたい。埋めたい。そして言葉を飲み込むことが上手くなった。飲み込んでいるうちに何を発したらいいのかわからなくなった。そこから脱却しなければと思いながら、未だその延長線上にいる。独りは怖くない。むしろ独りは私に優しいし暖かい。怖いのは誰かを傷つけること損なうこと失うこと。
でも、踏み出そう。歩き出そう。世界に手が届かなくても、手を伸ばそう。