百年の孤独

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ガルシア=マルケスの「百年の孤独」は素晴らしかった。「この一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻のむさぼるところとなる」。人と血と、あらゆるプラスの感情とあらゆるマイナスの感情が淡々と奇妙に描かれて。長い長い物語を読み終わった後に、ふと喉が渇いていることに気づく。どんなにあがいても、孤独はそこにどうしようもなくあり、水を差し出してくれる人はいない。自分で蛇口を捻ってコップに水道水をジャーと注いで冷蔵庫から氷を取り出してカランと入れてがぶがぶと飲む。そして水滴のついたコップの底をそっと瞼にあて眼を冷やす。この物語から名前を取ったというお酒は呑んだ事がないのだけれど、きっと、美味しいのではないかと勝手に想う。未だ味わったことの無いもの、未だ体験したことのないこと、を、夢想するのは楽しい。孤独。静かで穏やかなひとり遊び。