Bessaflex TM + CARL ZEISS JENA FLEKTOGON 35mm/F2.4 + Agfa Vista 100
横に向かって生えていた、捻くれものの左下の親知らずを抜いた。死ぬかと思った。いや、多分、一回死んだ。子が横で「フランダースの犬」をツッコミつきで朗読してくれていた(途中で飽きて、チーズケーキを貰って食べてた)。
毎朝、保育園までのお送りは自転車で5分間。二人乗り、一曲歌ってとせがまれて歌いながら自転車を漕ぐ。今のブームはラピュタの主題歌「君をのせて」。朝はいつもばたばたなので、宅急便の荷物を渡すように保育園に放り込むのだけど、夕方のお迎えは少しゆっくり。保育園の子供たちはみんな人懐っこくて、あっという間にスキャンダルを起こした芸能人みたいに囲まれる。話しかけてくるのに答えていると、なかなか帰れない。たくさんの話したいことを小さな体で思いきりぶつけてくる子供たち。「バイバイ、また明日」と笑って手を振って、また自転車二人乗り。帰りは歌じゃなくて今日あったことの報告や、夕暮れの空に浮かんだ月の綺麗さについて。
私の手をペロッと舐めて「甘い」と笑う。恋人でも言わないよ、というセリフ。私は良い母親じゃなくて、ごめんねと思うことがたくさんある。たくさんどころかそればかりだ。そして、いつも、子のしなやかな強さと明るさに救われている。私はこの子に何ができるだろうかと考える。見本になる大人になるなんて偉そうなことは言えないから、ただ受け入れること。愛すること。毎日ぎゅっと抱きしめながら。
口の中。血の味。何を思ったか、子の話。たまには、ね。
「あの地平線輝くのは どこかに君をかくしているから たくさんの灯がなつかしいのは あのどれかひとつに君がいるから」
抱きしめてくれるっていうだけで、大きな存在なんじゃないかな。