「truth and lies」

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Bessaflex TM + CARL ZEISS JENA FLEKTOGON 35mm/F2.4 + Kodak PORTRA 400vc

「シャッター アイランド」を観てきた。孤島の精神病院で患者がひとり忽然と消えるというシチュエーションに惹かれて、初ディカプリオ。(ディカプリオはどうでもいい)
観て思ったのは、これは謎解きの映画じゃないよ。と言うこと。そっちを期待して観てしまったらこの映画の魅力は半減しちゃうと思う。だから売り方も、上映直前に入る変な煽り映像も、最終的にはマイナス要素にしかなってない。そう言うのは私自身がまんまとその煽りにはまっちゃって謎解き映画として観ちゃったから。そうやって観ると、終わった時の感触は微妙で。

でも、違うのです。これは、人の苦悩と葛藤と、赦しの物語でした。

そう思ったらちゃんと観応えがある映画で。受け取る台詞の重さもまた変わってきて。映像も好みだったし、観終わった後、振り返って、観て良かったと2時間後に到達。だからこそ宣伝の仕方が本当に勿体無い。この映画に失礼だ。と小さな怒りを覚えるくらい。
私はスコセッシ監督って知らずに観て、後から「タクシー・ドライバー」の監督さんなんだ。って知るくらいの無知さで。知って観てたらシャラマン監督的映画だとは思わなかったのかな。映画を観る時はあまり前情報を調べずに観るのだけど、もう少し調べた方が、あるいはちゃんと知っておいた方が良かったかな、なんて考える映画でした。(そういえばディカプリオよりベン・キングズレーにばっかり目がいっちゃったのはきっと去年観た「エレジー」が良かった残り香。)

洋画をあまり観なかったのに、今年はなんだか洋画年(前にも書いた気がする)。「Shutter Island」のアナグラムが「truth and lies」になるっていいな。身を千切る真実と優しい嘘と。あたたかい真実ばかりではないから、そんなものは水を掌ですくって残る水滴ぐらい少ないと知っているから、嘘をつかれるならば優しい嘘がいいと思っていたけれど。目に見えてるものも信じられなくなる時間を知っているから、嘘よりも真実がいいとも思う。それがどんなに心を引き裂く事柄だったとしても。