ストックブリッジ図書館での展示のお知らせ

個展に続きもう一つお知らせです。

福島の写真を、イギリスのエディンバラ在住の版画家山下英子さんが目に留めて下さって、エディンバラのストックブリッジ図書館で展示して頂くこととなりました。
山下さん自身ご実家は現在もいわき市にあり、震災後もいわきに足を運ばれています。
危険や安全を誇張して伝えるのではなく、真摯に今福島に何が起こっているのかを見つめ、そこに住んでいる人間を一番に考え、自分たちができることをささやかでもしていきたい。
山下さんとはそんな想いを同じように持っていると感じています。
今回の展示の主旨も「被災地のその時の写真はたくさん世界中に流れたけれども、その後の日常をなかなか見えてこない。それを伝えたい。」というお話でした。
写真と福島は、思いがけず私を遠い場所に運んでしまっているようにも思うけれど、私は何も変わっていなくて。
ひとりの平凡な普通の人間で。今回はその普通だからこその眼が欲しいと言って頂けたように思っています。

 

「福島の眼-eyes from Fukushima-」写真展

開催期間:2012年3月3日〜3月23日
福島の眼1-ヌカガジュンコ展 3月3日-3月12日
福島の眼2-いわきを見つめる眼展 3月12日-23日
関連イベント 3月14日(水)6−8時

開催場所:エディンバラ市立ストックブリッジ図書館

開催の趣旨:
エディンバラでは日本人からも英国人からも「福島の現状が判らない」という声を聞く。放射能の被害の大きさばかりが取沙汰される中、人々の声、震災後の自治体の機能不全の中で福島の人々がどう支え合い、励まし合いながら生き延びたのか、そして今後どのような支援が必要なのかを伝えたい。
第一部では、福島出身の写真家ヌカガジュンコさんによる福島各地で撮影された写真の展示。写真を媒介として福島県の当事者の心情を伝える表現美術としての作品の展示をいたします。第二部では津波いわき市からのスナップ写真を中心に、人々のたくましさ、報道が伝えなかった大小の支援活動、故郷を取り戻す為の人々の日々の活動を、解説を添えながら紹介して行きます。

企画者:
山下英子(版画家)
協力者:
錦つなみ基金、額賀順子氏、わたなべひろき氏、徳田崇史氏他

 

03.-23. March 2012, Stockbridge Library
11 Hamilton Place, Edinburgh EH3 5BA Scotland

“Junko Nukaga Photo Exhibition”: Photos from Nuclear Evacuation Zone Sat. 3rd March-16th March
“The life of Tsunami affected population”: Group Exhibition by Photographers in Fukushima 16th March-23rd March

Opening Hours: Mon, Wed, 1pm-8pm Tue, Thu, Fri, 10am-5pm Sat, 9am-1pm Sunday, Closed
Facebook: http://www.facebook.com/groups/216321285132820/

 

告知が遅くなってしまったのは。
福島の写真と言うのがやはり特殊なものであること。
私自身が撮っていながら、まだ悩んで迷っている部分があるからだと思います。
私は震災をネタにしたような活動が嫌いで。
でも、自分がやってることとそこに差異はあるのか、とずっと自問自答しています。
お金にならないからOK、名声にならないからOK、ではなく、自分の内側の問題。
福島の写真を、福島の今を見て欲しいと思う気持ちの中に、1mmも「私の」写真を見て欲しいと思う気持ちが混じっていないと言えるだろうか。
絶対に無いとは言い切れないと、私は私の心の中を知っています。
それならばプロじゃない作品じゃないと言うことは逃げじゃないだろうか。
それに私の写真はやっぱり私の視線でしかなくて、一方的ではないと言えるだろうか。
混沌。

それでも、それを越えて。
福島を遠く離れても、福島を想って損得勘定抜きで手弁当でこういう活動をしている人がいることを知って欲しいと思ったし。
震災は終わっていない、尚且つその上でそこに生きている人たちがいることを知って欲しいと思っています。
知って欲しい、なんて思うことがそもそも傲慢なのかもしれないけれど。

2011年3月13日に私は「私たちは祈るだけじゃなく、無力でもない。」と書きました。
2011年3月19日「黙々とはできなくて私はやっぱりかっこわるいけど、それでも自分ができることをやっていこう。芝居をする人は芝居をする。漫画を描く人は漫画を描く。物を売る人は物を売る。Webを作る人はWebを作る。ご飯を作る人はご飯を作る。写真を撮る人は写真を撮る。」と書きました。それは震災に向けた動きのことだけじゃなくて。
もうすぐあの3月11日から1年が経とうとしています。変わらないことと変わったこと。

誰のどの選択も間違いじゃないと思うのです。