夜と夜の旅人

泣かない子どもだった。20歳を大人というなら大人になっても泣かない人だった。
舞台を作っていた時も。会社に勤めていた時も。
泣くということは、誰かを責めることみたいに感じていた気がする。

だから今、蛇口が壊れたみたいに泣く自分を、誰より自分が不思議に想う。

泣いた分笑えることを知っている。
夜から夜へ。スキップのリズムで渡ろう。